保育の現場では、「この先生じゃないとダメ」「あの保育士さんじゃないとうまくいかない」といった状況が生まれることがあります。これは「保育の属人化」と呼ばれる現象で、特定の保育士に業務や子どもとの関係が依存してしまう状態を指します。
一見すると、信頼関係が築かれている証拠のように思えますが、属人化が進むとチームでの保育が難しくなったり、保育士が休んだ際に業務が滞ったりするリスクが生じます。
では、なぜ保育の属人化が起こるのでしょうか? そして、どうすればこの課題を解決できるのでしょうか?
なぜ保育の属人化が起こるのか?
保育が属人化してしまう原因はいくつかあります。
① 個々の保育士のスキルや経験に依存してしまう
経験豊富な保育士ほど、子どもへの対応や保護者との関係構築がスムーズにできます。そのため「この先生がいると安心」と思われることが多くなり、結果的に特定の保育士に業務が偏ってしまいます。
② 情報共有が不十分
園全体での連携が不十分だと、保育士ごとのやり方が固定化し、「この先生でないと分からない」といった状況が生まれます。特に、個々の子どもの特性や日々の様子が共有されていないと、他の保育士が代わりに対応しにくくなります。
③ 保護者の意識
保護者が特定の先生だけを頼りにしてしまうケースもあります。「○○先生にお願いしたい」といった要望が強いと、他の保育士との関係が築きにくくなり、結果として属人化が進んでしまいます。
保育の属人化を防ぐための対策
① チームでの保育を徹底する
保育士一人ひとりのスキルや経験に頼るのではなく、チーム全体で子どもを見守る体制を作ることが重要です。そのためには、保育士同士の連携を強化し、日々の業務を分担する仕組みを整えましょう。
② 情報共有の仕組みを作る
子どもの成長や日々の様子を園全体で共有できるようにすることが大切です。例えば、デジタルツールを活用して保育記録を共有したり、定期的なミーティングで情報を交換したりすることで、特定の先生に依存しない環境を作れます。
③ 保護者への働きかけ
保護者にも「園全体で子どもを見守る」という意識を持ってもらうことが大切です。連絡帳や面談などで「すべての先生が関わる保育を大切にしている」と伝えることで、特定の先生への依存を防ぐことができます。
④ 保育のマニュアル化
「この先生だからできる」ではなく、「誰でも同じ質の保育ができる」ように、業務の標準化を進めることも効果的です。保育方針や対応マニュアルを作成し、どの先生でも同じように対応できる仕組みを作ることで、属人化を防ぐことができます。
まとめ
保育の属人化は、特定の保育士に負担が集中しやすく、チームでの保育を難しくする要因になります。しかし、情報共有の強化やチーム保育の徹底、保護者との関係構築を工夫することで、誰が担当しても安定した保育が提供できる環境を作ることが可能です。
子どもたちにとって、どの先生とでも安心して過ごせる保育環境を整えることは、園全体の質を高めることにもつながります。日々の保育を見直しながら、持続可能なチーム保育を実践していきましょう!