『いちばんやさしい「組織開発」のはじめ方』という本を読みました。保育園の組織開発について考えたことを少し。
近年、多くの法人で保育園の組織開発に取り組んでいます。その中でも特に重要なのが、「職員の定着率向上」です。なぜなら、保育士が安定して働ける環境を整えることは、結果的に子どもたちの成長にも良い影響を与えるからです。今回は、職員が長く働き続けられる保育園を作るために必要な3つの施策について解説します。
1. なぜ職員の定着率向上が重要なのか?
保育士の離職率は他の職種と比べても高く、特に若手保育士の退職が問題視されています。その理由として、以下の3つがよく挙げられます。
- キャリアパスが不透明で、成長実感がない
保育士として働き続けても、昇進やスキルアップの機会が少ないと感じる人が多いです。結果として、「このまま続けても将来の展望が見えない」と考え、転職を検討するケースが増えています。 - 業務負担が大きく、ワークライフバランスが取りにくい
保育の現場は、子どもの対応だけでなく、書類作成や保護者対応など、想像以上に多くの業務があります。人手不足の園では一人あたりの負担が大きくなり、精神的・肉体的に疲弊してしまうことも。 - 人間関係の悩みが多い
保育士同士のコミュニケーションが不足していたり、同僚との関係がうまくいっていなかったりすると、職場環境がストレスの原因になります。また、保護者との関係が難しく、クレーム対応に追われるケースも。
このような課題を解決するためには、「キャリアパスの明確化」「業務負担の軽減」「人間関係の改善」の3つのアプローチが必要です。
2. 職員の定着率を向上させる3つの施策
① キャリアパスの明確化
保育士が「この園で働き続けたい」と思えるようにするためには、将来のキャリアパスを明確にすることが大切です。例えば、以下のような仕組みを導入することで、職員のモチベーションを高めることができます。
✅ 昇進モデルの設計
「一般保育士 → リーダー保育士 → 主任保育士 → 園長」といったキャリアのステップを明確にし、昇進の基準を示す。
✅ 専門保育士の導入
発達支援、食育、英語など、特定の分野に特化した保育士を育成し、それを評価する制度を作る。
✅ 研修制度の充実
外部研修の参加支援や、園内での定期的な勉強会を開催し、スキルアップの機会を提供する。
これらの施策を取り入れることで、保育士の「成長実感」を高め、長く働き続けてもらいやすくなります。
② 業務負担の軽減
保育士の業務量が多いことも、離職の大きな原因の一つです。これを解決するために、業務を効率化し、負担を減らす施策が必要です。
✅ ICT(デジタルツール)の導入
例えば、紙の連絡帳を電子化することで、記入作業の負担を軽減できます。また、シフト管理や保護者との連絡もアプリを活用することでスムーズになります。
✅ 事務作業の分担・外部委託
事務作業の一部を事務員や外部の専門業者に委託することで、保育士が本来の業務に集中できるようにする。
✅ 週休二日制・短時間勤務制度の導入
ライフスタイルに応じた柔軟な働き方を可能にすることで、ワークライフバランスを向上させる。
これらの工夫によって、業務負担を減らし、職員の疲労を軽減できます。
③ 人間関係の改善
保育士の働きやすさを左右するのが「人間関係」です。円滑なコミュニケーションを促進することで、ストレスの軽減につながります。
✅ オンボーディング・メンター制度の導入
新人保育士には先輩保育士がついてサポートする仕組みを作ることで、不安を軽減し、早期離職を防ぐ。
✅ 定期的なミーティングや意見交換会
職員同士が意見を共有しやすい環境を整えることで、不満や課題を解消する。
✅ 感謝を伝える文化の醸成
日々の業務の中で「ありがとう」を伝え合う文化を作ることで、働きやすい職場を目指す。
このような施策を取り入れることで、職員同士の関係が良好になり、ストレスが軽減されます。
3. まとめ
当会の保育園でも取り組み始めていますが、まだ全てが出来ているわけではありません。これから進めていかなければならないところもあります。
保育園の組織開発において、「職員の定着率向上」は非常に重要です。そのために、
✅ キャリアパスの明確化
✅ 業務負担の軽減
✅ 人間関係の改善
の3つの施策を実施することで、保育士が安心して長く働ける環境を整えることができます。